「AIって、なんだか難しそう」「今さら私が始めても、もう遅いんじゃないかな」——そう感じたことはありませんか。
子育てが一段落して、これからの働き方や生き方を考え始めたとき、気になってはいるのに一歩が踏み出せない。そんな方にこそ届けたい記事です。
今回は、受講者の7割が50代以上というシニア向けAIスクール『スタートAI』を運営する、株式会社スケールエーアイ代表取締役の石井一生さんにお話を伺いました。そこにあったのは、最先端の技術の話ではなく、「人はいくつになっても変われる」というあたたかい確信でした。
シニア向けAIスクール『スタートAI』とは|「ログインできた」が喜びに変わる場所

シニア向けAIスクール『スタートAI』は、生成AIの基礎から実践までをオンラインで学べるスクールです。最大の特徴は受講者層で、その7割が50代以上。70代・80代の受講者も多く、中には90代で学ぶ方もいらっしゃいます。
「専門用語を使わない」「スマホやZoomの使い方から教える」「『分からない』を前提に進める」——シニア向けならではの徹底したルールで、パソコンの電源の入れ方に不安がある方でも学び始められる場所です。
入会したばかりの方にとっては、パスワードを入力してログインできた、エンターキーを押せた——その一つひとつが大きな喜びになるといいます。問い合わせは多い月で700件。
私たちが大切にしているのは、お客様の相談に対して、最初からできませんと断らないことです。
例えば、携帯電話の解約について相談された場合も、問い合わせ先を一緒に調べるなど、できる限り寄り添います。
AIの学習に直接関係のないことでも、お客様の困りごとに耳を傾け、一緒に解決方法を考える。その積み重ねが信頼関係につながると考えています。
石井代表:
本当にそこをサポートしないと、なかなか学習に進んでいただけないんです。「私たちは携帯会社なのではないか」というくらい(笑)。それでも、それで皆さんが一歩踏み出せるのであれば、とことん寄り添おうという体制にしています。そこは他のスクールとの一番の違いかもしれません。
代表石井一生さんの歩み|オール1の少年を変えた「僕の夢は生きることです」
MiiCanvas編集部まず、石井さんご自身のこれまでの歩みを聞かせてください。



福岡の赤間というところで生まれて、埼玉で育ちました。子どもが3人いまして、いまの趣味は山登りとトライアスロン。南米のアコンカグアという、テレビの登山企画でタレントさんが登頂を断念したことで知られる山に、私はなんとか最後まで登り切ることができました。
実は成績がめちゃめちゃ悪い子どもでして、小中学校はほぼオール1か2。通知表に褒めるところがなさすぎて、先生から「石井君の笑顔はいいですね」と書かれるくらい、笑顔しか取り柄のない少年でした。
将来は整備士になりたかったんです。エンジンをいじるのが大好きで。ところが専門学校を受けたら不合格。そこで夢が絶たれてしまって、オセアニアと東南アジアを1〜2年かけてぐるっと回る旅に出ました。
旅の途中、人生を変える出会い



朝から晩までゴミ拾いの仕事をしている、4歳くらいの少年に出会ったんです。「夢は何?」と聞いたら、彼はこう答えました。「僕の夢は、生きることです」と。
自分はなんて甘えて生きてきたんだろうと痛感しました。20歳のときです。そこで自分の「マイルール」を決めました。運はどんなことをしても確率は変わらないけれど、チャンスのつかみ方だけは変えられる。それを決めるのは「誰といるか、どんな環境にいるか、どんな時間の使い方をするか」。
だから友達とは遊ばず、学びの多い先輩と過ごすと決めました。その先輩たちからは、ネガティブな言葉を一度も聞いたことがなかったんです。だから自分も、人の悪口やネガティブなことをできるだけ口にしない。そして、能力の低い私は皆さんにお願いしないと何もできないので、人の助けを借りる。
今の会社があるのも、本当に皆さんに助けてもらっているおかげです。オール1だった自分でも、ここさえこだわればチャンスはつかめる——30年経った今も続けているルールです。
なぜシニア×AIなのか|足りないのは「つながり」と「承認」



そこから、なぜシニア向けのAIスクールを立ち上げようと思われたのですか。



もともとはシニア向けの英語スクールから始めました。
レッスンには自信があったので、そこからシニアの市場でどう多角化できるかを考えたとき、AIの市場が一気に伸びていた。それなら私たちのやり方でお手伝いができるのではないかと、2024年9月頃から準備を始めて、年末にサービスを立ち上げました。もうすぐ2年になります。
いまは英語とAIの両方を教えています。サービスとしては分かれているのですが、コミュニティを大切にしながらシニアの方に寄り添う、という姿勢はどちらも共通なんです。
10代から30代向けの市場は、すでに競合がひしめくレッドオーシャンで、入り込む余地がありませんでした。一方シニア層は、市場全体の16%ほどと決して大きくはないものの、大手がほとんど参入していなかった。ここに入っていこうと決めたんです。


──スクール運営で大切にしていることはありますか。
石井代表:
学びが挫折する理由は「続かない・変化がない・楽しくない」の3つなんです。ダイエットと同じで、最初の1カ月は頑張れても、3カ月から半年で諦めてしまうという統計があります。
では、どうすれば続くのか。
うちはマズローの欲求5段階ですべてを見ています。
年齢を重ねることで、仕事や家庭を中心とした人間関係が変化する方もいらっしゃいます。一方で、新しい仲間と出会いたい、誰かの役に立ちたい、新しいことに挑戦したいという思いを持つ方も多くいらっしゃいます。
私たちは、そうした前向きな気持ちを大切にしています。
そうした「仲間とつながりたい」「誰かの役に立ちたい」「新しいことに挑戦したい」という思いを大切にし、実現できる環境をつくることが、自己実現への近道になると考えています。
それに、シニアの皆さんは昭和の高度成長期を、残業当たり前の時代の中で、仕事と家族に自分の時間を費やして支えてきた世代です。その土台の上に、今の私たちの暮らしがある。何か恩返しがしたいという思いがどんどん強くなりました。調べてみると、シニアの7割以上が「何かしら新しいことに挑戦したい」と考えているんです。年齢を重ねていても、心は20歳なんですよ。
選ばれる理由|最先端のカリキュラムより、「自分にもできそう」



数あるスクールの中で、スタートAIが選ばれている理由は何だと思われますか。



私たちは、AIの知識やカリキュラムの充実はもちろん大切にしています。
ただ、それだけでは他者との差別化は難しいと考えています。
私たちが特に大切にしているのは、お客様一人ひとりに寄り添い、小さな成功体験を積み重ねながら、学ぶ楽しさや仲間とのつながりを感じていただくことです。
どんなに良いコンテンツがあっても、「自分にもできそう」と思えなければ、皆さん踏み込めないんです。そのハードルをできる限り下げることが、一番のポイントだと思っています。
受講者の変化|Kindle出版、音楽制作、農業を継ぐAI
──学び始めた受講者たちは、驚くような変化を見せているといいます。
AIで音楽を作ってYouTubeで発信し、そのノウハウをまとめた本をKindleで出版した方。ChatGPTで本の執筆に挑戦し、現在4冊目を制作中の方。占いアプリを作り、今は持病の管理アプリづくりに取り組む方。出版した本を地域のコミュニティで発表・販売する方。税理士や社長として活躍してきた方が、AIを学び直して古巣の会社で現役世代に教えるようになったケースもあるそうです。
なかでも印象的だったのは、農業を営む受講者のお話でした。体がだんだんしんどくなってきたので、AIに自分の農業のやり方を教え込み、「若い世代に農業を教えてくれるAI」を作って引き継ごうと頑張っているのだそうです。


石井代表:
昨日までできなかったことが、今日ワンクリックでできた。
その喜びは本当に大きいんです。
「自分の生きてきた経歴を本にして後世に残せるなんて、こんな素晴らしいことはない」とおっしゃる方もいます。
皆さんそれぞれのご経験があって、AIがそれを生かす道具になっているんですね。
もっとも、誰もが順調に進むわけではありません。パソコン世代ではなかったために、電源が入らないだけで諦めてしまう方や、「Wi-Fi」というカタカナ言葉を聞いただけで「私なんてダメだ」と離れていってしまう方も一定数いらっしゃいます。
オンラインサービスやAIに対して、不安を感じる方もいらっしゃいます。特に、初めて利用するサービスでは、登録方法や決済方法が分からず、戸惑うこともあります。
そうした不安を一つひとつ解消し、安心して学んでいただける環境を大切にしています。
40代・50代の女性へ|「こんな私なんて」が自信に変わるまで



MiiCanvasの読者は、子育てが一段落した40代・50代の女性が中心です。同じような立場の受講者の方はいらっしゃいますか。



主婦の方も多く参加されています。
子育てや家庭を大切にしてきた方の中には、新しい挑戦に不安を感じる方もいらっしゃいます。
ただ、AIを学び、小さな成功体験を積み重ねることで、自分の可能性に気づき、新しい挑戦を始める方も増えています。
石井代表:
だからこそ「だったらフリーランスとして、自分の力で収入を得られる自立した女性になりたい」という方が多いんです。AIでいえば、Kindle出版や、自分でデザインした商品を作って販売すること。自信がなかった方が「私にも独立できる」「自立できる」という手応えをつかんでいく。AIは、主婦の方にすごく自信を与えていると感じています。
オフ会では、自分でデザインしたものを商品化して販売してみましょう、というワークショップも開いていて、デザイン系は特に女性から人気です。作った商品を次のオフ会で披露して、「実は何人か買ってくれたんです」と報告してくださる方もいるんですよ。
オフ会での繋がり


──受講生の変化を後押ししているのが、リアルでのオフ会だそうです。月に1回、多い月には2〜3回開催され、10人ほどのワークショップから30〜50名規模の交流会までさまざま。会場では数人で1組の島に分かれて交流し、仲良くなってLINEを交換。月に1度Zoomで集まって「最近どんなAIを使ってる?」と情報交換するグループも自然に生まれているそうです。カフェを開きたいという主婦の方が仲間に相談したところ、「メニューはAIでデザインしたら?」とアドバイスをもらった、というエピソードも。人見知りタイプのグループもあるものの、帰るころにはみんなすっかり仲良くなっているのだとか。
石井代表:
「今日はドキドキしながら来ました」という方が、「同い年の方ばかりで安心しました」「私が一番パソコンが苦手だと思っていたら、隣に電源もつけられない方がいて、私が教える立場でした」と笑顔で帰っていかれるんです。ITバリバリの世界を想像して来られた方ほど、「全然違いました」とおっしゃいますね。
AIに仕事を奪われる?|最終的な意思決定は自分





「AIに仕事を奪われるのでは」という不安の声もよく聞きます。石井さんはどうお考えですか。



AIに聞けば、答えはすぐに出てきます。ただ、自分の軸を持たないままAIに相談すると、AIに引っ張られてしまうんです。「こういう答えが出たから、これが正しいのかな」と
でも、その答えを実行するかどうかを決められるのは、自分しかいません。資料作成やデザインのような作業は確かに効率化されていきますが、あなた自身の思想や思いは、AIには作り出せない。だからこそ「自分は何をやりたいのか、どうなりたいのか」を強く持ったうえでAIを使うことが、これからは一番大切になると思っています。
代表石井一生さんからのメッセージ|第二の人生を謳歌するために
──最後に、「今さら遅いのでは」と感じている読者へメッセージをお願いします。
石井代表:
皆さん、仕事や家族のために自分の時間を捧げてきて、やっと自分の時間を持てるようになった。それなのに「学びたいけれど、どうしたらいいか分からない」という方が8割以上いらっしゃいます。
でも、80歳から英語を学び始める方だっていくらでもいます。「遅い」ということは、僕はないと思っています。
英語もAIも、すべては手段です。その先の目的地に向かって、自信をつけていただくことが私たちのミッション。英語が上手ではなくても、勇気を持って一歩踏み出して、堂々と通じさせてしまう方っていますよね。大切なのは、そういう「一歩踏み出す勇気」なんです。小さな成功体験を重ねた方が「こんなことに挑戦してみました」と話してくださるのが、私たちにとって何よりうれしい瞬間なんです。
それから、孤独だとなかなか一歩を踏み出せませんが、仲間がいると人は続けられます。ジム通いも、一人だと3カ月で疲れてしまうけれど、仲間がいれば続きますよね。そういう「仲間のいる空間」があるということを、これからも伝えていきたいと思っています。ぜひ、諦めずに挑戦していただけたらうれしいです。
取材を終えて|一歩を踏み出す勇気は、仲間がくれる


オール1の成績で夢に破れた青年が、旅先で出会った一人の少年の言葉から人生を立て直し、いま、同じように「一歩が踏み出せない」大人たちの背中を押している——石井さんのお話は、そのまま読者へのエールのようでした。
印象的だったのは、AIという最先端の話題を扱いながら、語られたのはずっと「人」の話だったこと。つながり、承認、仲間、自信。学びを続けさせてくれるのは技術ではなく、人のあたたかさなのだと気づかされます。
石井代表は今後、いまは別々に提供している英語とAIの学びを互いに行き来できるようにしながら、趣味や仲間づくりを通じて第二の人生を楽しめるコミュニティへと発展させていきたいと語ります。「文明が発達すればするほど、人間性が失われていくと思っています。そこをどう作り込んでいくかが、私たちのようなベンチャーの勝ち筋です」という言葉が印象的でした。
「今さら遅いのでは」と感じているあなたへ。90代でAIを学ぶ人がいて、80歳から英語を始める人がいます。心が20歳なら、きっとまだ何でも始められます。
会社概要
| 社名 | 株式会社スケールエーアイ |
| 代表取締役 | 石井一生 |
| 設立 | 2024年 |
| 所在地 | 東京都新宿区新宿4-1-6 JR新宿ミライナタワー18F |
| 事業内容 | AI教育サービス「スタートAI」の運営 / AI活用支援事業 |
| スタートAI | https://startai.jp/ |
| コーポレートサイト | s://scaleai.co.jp/ |
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