ー 私が取り戻した自分時間の作り方 ー
朝起きて、家族のために朝食を作り、洗濯をして、パートに行き、帰ってきたら急いで夕飯の支度をする。
25年間、雨の日も風の日も続けてきた当たり前の日常。家族の笑顔を見るのが幸せだったし、それが私の役割だと思って疑いもしませんでした。
でも、ある日ふと、洗濯物をたたみながら、心の中に小さな問いが浮かびました。
「私、何のために生きているんだろう?」
子どもたちが大きくなり、手がかからなくなった今、突然訪れた虚無感。家族のために使い続けてきた時間を、いざ自分のために使おうと思っても、どうすればいいのかわからない。
これは、いわゆる「空の巣症候群」の入り口かもしれません。あなたも、同じような感覚を抱いてはいませんか?
「お母さん」以外の自分を、あなたは説明できますか?
「はじめまして、〇〇(子どもの名前)の母です」
初対面の人に自己紹介をする時、私たちは無意識に「誰かの母親」として自分を語ります。
「趣味は何ですか?」
そう聞かれて、言葉に詰まってしまった経験はありませんか? 昔好きだった映画鑑賞も、旅行も、いつの間にか「家族で楽しめるもの」に変わり、純粋な「私の好き」がわからなくなってしまっている。
「母親」という役割に埋もれて過ごした25年。それは尊い時間ですが、同時に「個としての自分」を見失う時間でもありました。
これは決してあなただけの悩みではありません。40代、50代の女性の多くが、子育ての終わりと共に直面するアイデンティティの揺らぎなのです。
【ケーススタディ】49歳主婦・佐藤恵子さんの「自分喪失」体験
佐藤恵子さん(49歳)は、会社員の夫(52歳)、大学3年の息子、高校3年の娘を持つ、どこにでもいる主婦です。専業主婦を経て、現在は地元の不動産会社で週3回、午前中だけ事務パートをしています。
恵子さんが「自分がない」という恐怖を感じたのは、息子が一人暮らしを始めるために家を出た日のことでした。
息子の部屋を片付けながら、突然涙が溢れてきました。寂しさだけではありません。「あの子のために毎日お弁当を作っていた時間、これからは何に使えばいいの?」という、途方もない空白への恐怖でした。
さらに追い打ちをかけたのが、娘の何気ない一言です。
「ママってさ、趣味ないよね。私たちが家出たら、どうするの? パパと二人でずっとテレビ見てるの?」
ドキリとしました。夫との会話といえば、「今度の週末どうする?」「あの子の学費振り込んだ?」といった事務連絡ばかり。子供という共通の話題がなくなったら、私たち夫婦には何が残るのだろう。
「私って、家族がいなくなったら、空っぽになっちゃうのかな」
■ 恵子さんの典型的な1日(Before)
- 6:00 起床、朝食とお弁当の準備
- 7:00 家族を送り出し、大量の洗濯・掃除
- 9:00-12:00 パート(不動産会社で事務作業)
- 13:00 帰宅途中に買い物、簡単な昼食
- 14:00 夕飯の下ごしらえ、銀行などの用事
- 18:00 家族帰宅、夕食の仕上げと配膳
- 20:00 食器洗い、翌日の準備、娘の相談相手
- 22:00 ソファでスマホニュースを眺めながら寝落ち
→ 自分のための時間:ほぼゼロ
40代女性が「自分の人生がない」と感じる心理的背景
なぜ私たちは、ここまで自分を後回しにしてしまうのでしょうか。
転機は、娘の「ママ、老けたね」という一言
ある朝、洗面所で娘に言われました。
「ママ、なんか老けたね。疲れてる顔してるよ」
鏡を見て愕然としました。白髪が目立ち始め、肌はくすみ、何より表情に生気がない。美容院には半年行っていないし、最後に自分の服を買ったのがいつかも思い出せない。
「私、女性として終わってる?」
焦って夫に「私、老けたかな?」と聞いても、「そんなことないよ、いつも通りだよ」とスマホを見ながら適当な返事。その無関心さが、余計に心を抉りました。
■ スマホで見かけた一本の記事
居ても立っても居られず、スマホでなんとなく「40代 主婦 虚無感」と検索してみました。そこで偶然目に留まったのが、「40代からの人生デザイン」というWebメディアの記事でした。その中にあった一文が、恵子さんの心に深く刺さりました。
「自分を満たしてこそ、家族を満たせる。自分を犠牲にした奉仕は、いつか『してあげたのに』という恩着せがましさに変わる」
ハッとしました。家族のために尽くしているつもりが、心のどこかで「私はこんなに我慢しているのに」という不満を溜め込んでいたことに気づいたのです。罪悪感こそが、自分を縛り、結果的に家族の空気も重くしていた鎖だったのです。
恵子さんが実践した「週5時間の自分時間」の作り方
「変わりたい」と思った恵子さんは、具体的な行動に出ました。目標は「週に5時間、純粋な自分の時間を持つこと」です。
Step 1: 家族会議で「自分時間宣言」
日曜日の夕食後、夫と娘に宣言しました。
「私、週に5時間だけ、私のための時間を作らせてほしいの」
最初は「え、どうしたの急に?」と戸惑う家族。でも、恵子さんは本音を伝えました。
「お母さんが元気でニコニコしているためには、自分を満たす時間が必要なの。その方が、みんなにとっても良いことだと思うから」
Step 2: 時間の「見える化」と「捨てる」選択
1週間のスケジュールを書き出してみると、意外と「なんとなくテレビを見ている時間」や「スーパーで悩んでいる時間」が多いことに気づきました。
そして、「完璧な家事」を捨てる決意をしました。
・夕飯は週2回、惣菜や丼もので手抜きをする
・毎日していた掃除機かけを、週3回にする
Step 3: 具体的な「自分時間」の使い方を決める
恵子さんは、確保した時間を以下のように割り振りました。
- 月曜朝(1時間): パート前にカフェで読書時間
- 水曜夜(30分): 家族がお風呂に入っている間にオンラインヨガ
- 土曜午後(2時間): カフェで手帳を開き、日記を書く
- 日曜朝(1時間): 家族が寝ている間に、一人で川沿いを散歩
Step 4: 家族の協力を引き出すコミュニケーション
「手伝って」ではなく、「お母さんの時間のためにこれが必要」と具体的に依頼しました。
・夫には、土曜の昼食は自分で準備してもらう(カップラーメンでもOK)
・娘には、週1回の洗濯物たたみをお願いする
6ヶ月後、恵子さんと家族に起きた5つの変化
最初は罪悪感がありましたが、続けていくうちに劇的な変化が訪れました。
- 恵子さんの変化:
表情が明るくなり、イライラすることが減りました。「今、こんな本を読んでいてね」と、家族に話せる話題が増えました。ヨガのおかげで肩こりも解消。 - 夫の変化:
「最近、楽しそうだね」と声をかけてくることが増えました。妻がイキイキしているのを見て安心したのか、夫自身も昔好きだった釣りを再開しました。 - 娘の変化:
「ママ、カフェでノート書いてるんだって? おしゃれじゃん」と、母親を「家政婦役」ではなく「一人の女性」として見るようになりました。 - 家族関係の変化:
家事分担が当たり前になり、「お母さんがいないと何もできない」状態から脱却。お互いの「自分時間」を尊重する空気が生まれました。 - 意外な副産物:
カフェで日記を書き溜めていたノートがきっかけで、市民エッセイコンテストに応募し、佳作に入賞。小さな自信が生まれました。
「自分時間」を持つことは、わがままではない【心理学的根拠】
心理学に「酸素マスク理論」という考え方があります。飛行機で酸素マスクが下りてきた時、「まず大人が装着してから、子供につけてあげてください」とアナウンスされますよね。
これは人生も同じです。親であるあなたが先に酸欠(エネルギー枯渇)になって倒れてしまっては、子供や家族を助けることはできません。
あなたが自分を満たし、心に余裕を持つことは、決してわがままではありません。むしろ、家族全員が幸せになるための「責任ある行動」なのです。
あなたも今日から始められる「自分時間」の作り方【5ステップ】
恵子さんのように、あなたも「自分の人生」を取り戻す一歩を踏み出してみませんか?
- 1週間の時間を記録してみる
まずは現状把握。手帳やアプリに、何に時間を使っているか書き出します。 - 「やらなくてもいいこと」を3つ見つける
毎日の掃除機、手作りのドレッシング、アイロンがけ…思い切ってやめてみませんか? - 家族に「自分時間」を宣言する
「水曜の夜30分だけは、お母さんに話しかけないでねタイムにします」と明るく伝えましょう。 - 週に2〜3時間から始める
いきなり大きく変えなくてOK。まずはカフェでコーヒーを飲む30分から。 - 罪悪感が出たら「家族のため」と唱える
「これは私が笑顔でいるための必要経費」と言い聞かせましょう。
「自分の人生」を生きることは、家族への最高のギフト
25年間、家族のために生きてきたあなた。その献身は本当に素晴らしいものです。でも、これからの25年は、少しだけ「私」を主語にして生きてみませんか?
あなたが自分の人生を楽しみ、笑顔でいること。それこそが、夫や子供たちにとって最高の安心であり、ギフトなのです。
あなたも感じていませんか?
- 家族の予定ばかり優先して、自分の予定は後回し
- 「〇〇ちゃんのママ」と呼ばれることに疲れを感じる
- 趣味を聞かれても、何も思いつかない
- 一人でカフェに入っても、早く帰らなきゃと落ち着かない
もし一つでも当てはまるなら、今日が「自分時間」デビューの日です。まずは手帳を開いて、来週のどこかに「私だけの予約」を書き込んでみてください。
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